行政書士の収入印紙ガイド:領収書・契約書・会計処理を徹底解説!
行政書士米田耕太郎事務所 Administrative scrivener Komeda Kotaro Office
行政書士として独立・開業したとき、あるいは事務所で経理を担当する際に、意外と迷いやすいのが「収入印紙の取り扱い」です。
特に、行政書士業務は「委任契約」が基本ですが、「請負的な業務」を行う場合もあり、その境界で印紙税の取り扱いが複雑になります。
本記事では、行政書士が扱う主要な文書(領収書・契約書)ごとに、印紙の要否と会計処理のポイントをわかりやすく整理し
目次
領収書(受取書)の収入印紙:原則「不要」だが例外あり
📘 基本の考え方
行政書士がクライアントから報酬を受け取る際に発行する「領収書(受取書)」については、印紙税法上の「課税文書」に該当するかどうかがポイントです。
| 文書発行者 | 金額の要件 | 収入印紙の要否 |
|---|---|---|
| 個人の行政書士 | 原則不要 | 「営業に関しない受取書」に該当するため |
| 行政書士法人 | 5万円未満:不要 5万円以上:必要 | 「営業に関する受取書」に該当するため |
💡 解説
行政書士の委任型の業務(例:許認可申請代理・相談業務など)は、弁護士・税理士などと同様に「資格に基づく委任契約」として扱われるため、印紙税法上は営業に関しない受取書=非課税となります。
ただし、以下のような業務は注意が必要です。
- 成果物の納品を伴う請負的業務
(例:契約書作成、マニュアル作成、Excelツール開発など)
これらは「仕事の完成」を目的とするため、営業に関する受取書と見なされ、印紙貼付が必要になる場合があります。
契約書の収入印紙:契約の性質(委任か請負か)で判断
行政書士がクライアントと交わす契約書は、「委任契約」と「請負契約」で印紙税の扱いが異なります。
契約タイプA:委任契約(印紙不要)
- 例: 許認可申請代行、相談業務など
- 印紙の要否: 不要
- 理由: 委任契約書は印紙税法別表第一に定める課税文書に該当しないため
契約タイプB:請負契約(印紙必要)
- 例: 契約書作成、Excelツール開発など「成果物の完成」を目的とする業務
- 印紙の要否: 原則必要
- 理由: 請負契約書は印紙税法上の第2号文書(請負に関する契約書)に該当するため
| 契約書に記載された金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税(印紙不要) |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 金額の記載がないもの | 200円 |
💡 電子契約の場合は非課税
クラウドサインなどの電子契約サービスを利用し、紙で出力・保存しない場合は、印紙税は課税されません。
行政書士事務所でも、コスト削減と事務効率化のために電子契約の導入が進んでいます。
収入印紙の会計処理(勘定科目)
収入印紙を購入・使用する際の会計処理は、使用目的とタイミングで勘定科目が変わります。
| 購入・使用の状況 | 勘定科目 | 処理方法 |
|---|---|---|
| 購入後すぐに使用した場合 | 租税公課 | その都度、費用として計上 |
| まとめて購入し保管する場合 | 貯蔵品 | 購入時は資産計上し、使用時に「租税公課」へ振替 |
🧾 少額の印紙を都度購入する場合は、簡便的に「租税公課」で処理しても問題ありません。
まとめ:行政書士と収入印紙の基本ルール
| 文書 | 個人行政書士 | 行政書士法人 | 補足事項 |
|---|---|---|---|
| 領収書(委任報酬) | 原則不要 | 5万円以上は必要 | 「営業に関しない受取書」扱い |
| 領収書(請負報酬) | 原則必要 | 5万円以上は必要 | 成果物を伴う請負業務は課税対象 |
| 委任契約書 | 不要 | 不要 | 印紙税法別表第一に非該当 |
| 請負契約書 | 必要(1万円以上) | 必要(1万円以上) | 第2号文書に該当。電子契約なら不要 |
最後に:実務のポイント
- 行政書士業務は「委任」が基本だが、「請負」的要素を含む場合は印紙課税の可能性あり
- 印紙税は「文書の性質」で判断する(発行者や業種ではない)
- 電子契約を活用すれば、印紙税を節約しつつ効率化が可能

