【Excel入門】関数の基礎|Excel関数マニュアル
行政書士米田耕太郎事務所 Administrative scrivener Komeda Kotaro Office
中小企業や個人事業主の皆様にとって、Excelは単なる「計算ソフト」ではありません。正しく使えば、あなたの代わりに24時間ミスなく働いてくれる「最強のデジタル事務員」になります。
しかし、「関数が多すぎて覚えられない」と身構える必要はありません。実務の現場で本当に必要な知識を、「対応バージョン」や「入力時の注意点」まで徹底的に詰め込み、プロの視点で凝縮しました。
目次
挫折しないための「Excel活用・3カ条」
関数を個別に学ぶ前に、まずはこのマインドセットを持ってください。
- 全部覚えるのは「不可能」かつ「無駄」:Excelには500種類以上の関数がありますが、実務の9割は、わずか10〜20個程度で完結します。
- 「あんなこと、できる関数あったな」で100点:正確なスペルを暗記する必要はありません。キーワードさえ頭にあれば、必要な時にこの記事を辞書として引けば良いのです。
- 「バージョン」の壁に注意する:非常に便利な関数でも、古いExcel(2019以前)では動かないものがあります。自分だけでなく、共有相手(取引先など)の環境を意識することが、トラブルを防ぐプロの作法です。
目的別Excel関数リファレンス
🔍 検索・参照・抽出:データを探す手間をゼロにする
名簿や商品台帳から情報を一瞬で引き出し、入力ミスを根絶します。
| 関数名 | 目的 | 対応Ver. | 書式・使用例 | 注意事項 |
| XLOOKUP | 自由自在な検索 | 365/2021 | =XLOOKUP(A2, 検索範囲, 戻り範囲, "なし") | 第4引数に指定すれば、IFERRORなしでエラー回避が可能です。 |
| INDEX+MATCH | 万能な検索(組み合わせ技) | 全Ver. | =INDEX(戻り範囲, MATCH(値, 検索範囲, 0)) | VLOOKUPの弱点を克服。検索列の左側にあるデータも抽出可能です。 |
| VLOOKUP | 縦のリストを検索 | 全Ver. | =VLOOKUP(値, 範囲, 列番号, FALSE) | 検索値は範囲の左端が必須。末尾は必ずFALSE(または0)に。 |
| FILTER | 条件一致を全抽出 | 365/2021 | =FILTER(配列, 条件, [空の場合]) | 複数の該当データを一気に取り出せます。※スピルエラーに注意。 |
📊 集計・計算:正確な経営判断のために
1円の狂いも許されない月次決算や経費集計に。
| 関数名 | 目的 | 対応Ver. | 書式・使用例 | 注意事項 |
| SUM | 合計を出す | 全Ver. | =SUM(D2:D100) | フィルターで非表示にした行も合計に含まれます。 |
| SUBTOTAL | 見える行だけ集計 | 全Ver. | =SUBTOTAL(9, 範囲) | 9は合計。フィルターで絞り込んだ状態で分析する際に必須です。 |
| SUMIF | 1条件で合計 | 全Ver. | =SUMIF(範囲, 条件, 合計範囲) | 条件範囲と合計範囲のサイズを揃える必要があります。 |
| SUMIFS | 複数条件で合計 | 2007以降 | =SUMIFS(合計対象, 範囲1, 条件1...) | 今の実務の主流。SUMIFと引数の順序(合計対象が先)が逆なので注意。 |
| COUNTIF | 条件一致の件数 | 全Ver. | =COUNTIF(C:C, "未入金") | 処理件数の把握や、特定のステータス確認に便利。 |
| COUNTIFS | 複数条件の件数 | 2007以降 | =COUNTIFS(範囲1, 条件1...) | すべての条件を満たす(AND)件数のみをカウントします。 |
| AVERAGE | 平均値を出す | 全Ver. | =AVERAGE(E2:E50) | 空白セルは無視、0が入力されたセルは計算に含まれます。 |
| ROUND | 四捨五入する | 全Ver. | =ROUND(A2, 0) | 整数なら0を指定。消費税計算の誤差防止に必須です。 |
💡 論理・判定:複雑なルールを自動化する
「もし〜なら」を自動化し、エラー表示のない美しい表を作ります。
| 関数名 | 目的 | 対応Ver. | 書式・使用例 | 注意事項 |
| IF | 処理を分岐する | 全Ver. | =IF(B2>10万, "要確認", "") | 複雑な分岐は、次のIFSを使うと式がスッキリします。 |
| IFS | 複数条件を判定 | 365/2019 | =IFS(条件1, 値1, 条件2, 値2...) | 2016以前では動かないため、共有相手のバージョンに注意が必要。 |
| AND | 全条件を満たすか | 全Ver. | =AND(条件1, 条件2) | 「AかつB」の判定。主にIF関数の論理式として併用します。 |
| OR | いずれかを満たすか | 全Ver. | =OR(条件1, 条件2) | 「AまたはB」の判定。主にIF関数の論理式として併用します。 |
| IFERROR | エラーを隠す | 2007以降 | =IFERROR(数式, "なし") | #N/A等を消すだけで、表の信頼感が劇的に向上します。 |
📝 文字列処理:データをクリーンアップする
名簿の整形や、他システムから持ってきたデータの「掃除」に役立ちます。
| 関数名 | 目的 | 対応Ver. | 書式・使用例 | 注意事項 |
| PHONETIC | ふりがな抽出 | 全Ver. | =PHONETIC(A2) | 入力時のIME情報に依存。他からコピペした文字には無効です。 |
| TEXTJOIN | セルを結合する | 365/2019 | =TEXTJOIN(" ", TRUE, 範囲) | 空白を無視して繋げられる。住所や氏名の結合に非常に便利。 |
| CONCAT | 文字を単純結合 | 365/2019 | =CONCAT(A2, "-", B2) | セル範囲をまとめて指定可能。CONCATENATEの後継です。 |
| LEFT | 左端から抽出 | 全Ver. | =LEFT(B2, 3) | 郵便番号の上3桁抽出などに。 |
| MID | 途中から抽出 | 全Ver. | =MID(A2, 5, 2) | 決まった位置にある商品コードの抜き出しなどに。 |
| TRIM | 余分な空白削除 | 全Ver. | =TRIM(A2) | 文字前後のスペースを削除。検索エラーの主因を根絶します。 |
| CLEAN | 制御文字を削除 | 全Ver. | =CLEAN(A2) | 改行コードなど、目に見えないゴミ文字を除去します。 |
| SUBSTITUTE | 文字を置換する | 全Ver. | =SUBSTITUTE(A2, "-", "") | 特定の文字を消したり、別の文字に置き換える際に使用。 |
| LEN | 文字数を数える | 全Ver. | =LEN(A2) | 全角・半角問わず文字数をカウント。入力チェックに利用。 |
📅 日付・時刻:スケジュールと期限の管理
行政書士実務でも最重要となる、期間や締め日の計算です。
| 関数名 | 目的 | 対応Ver. | 書式・使用例 | 注意事項 |
| NOW | 現在の日時 | 全Ver. | =NOW() | 更新のたびに変化。値を固定したいならCtrl+:を活用。 |
| TODAY | 今日の日付 | 全Ver. | =TODAY() | ファイルを開くたびに自動更新。期限のカウントダウンに。 |
| DATEDIF | 期間の計算 | 全Ver. | =DATEDIF(開始, 終了, "Y") | 入力中にガイドが表示されないため、手入力が必要です。 |
| EOMONTH | 月末日を求める | 全Ver. | =EOMONTH(開始日, 1) | 翌月末なら1を指定。支払期限の自動計算に。 |
| NETWORKDAYS | 営業日数を計算 | 全Ver. | =NETWORKDAYS(開始, 終了, 祝日) | 土日を除外。別途「祝日リスト」を範囲指定して使います。 |
【Tips】祝日リストの作り方
NETWORKDAYSで祝日を考慮するには、別シート等に「2026/1/1」「2026/1/12」…と祝日を並べた一覧を作成し、その範囲を関数の中で指定するだけでOKです。
3. まとめ:関数は「考える時間」を生み出す投資
この記事に掲載した31の関数は、あなたの業務を自動化し、ミスへの不安を解消するための強力な武器です。
Excelを賢く使う最大の目的は、単なる時短ではありません。浮いた時間で、「経営の構想を練る」「大切なお客様と向き合う」といった、人間にしかできない価値創造に集中することにあります。
まずは今日、この記事の中から「自分の面倒な作業を解消してくれそうなもの」を一つだけ選んで、実際のファイルで試してみてください。
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