🏠 【令和時代の相続対策】残された配偶者の生活を守る「配偶者居住権」とは?

行政書士米田耕太郎事務所 Administrative scrivener Komeda Kotaro Office

ご主人や奥様を亡くされた後、「住み慣れた自宅は守りたいけれど、生活費も確保したい」というお悩みはありませんか?

2020年4月に施行された改正民法により新設された「配偶者居住権」は、このような悩みを解決するために生まれた、残された配偶者(ご自宅にお住まいだった方)の生活を強力にサポートする新しい権利です。

この記事では、配偶者居住権の仕組み、そして当事務所(行政書士)がどのように皆様の安心をサポートできるかをご紹介します。

配偶者居住権について

配偶者居住権の基本:自宅と生活資金の両立

🏡 配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは、亡くなった配偶者(被相続人)が所有していた建物に、残された配偶者が終身(または一定期間)無償で居住できる権利です。

この制度の最大のポイントは、「建物の所有権」と「居住する権利」を分離できる点にあります。

  • 建物の所有権: 主に子などの他の相続人が取得する
  • 配偶者居住権: 残された配偶者が取得する

配偶者居住権のメリットとデメリットの深掘り

配偶者居住権は非常に有効ですが、建物の所有者となる方との関係や税金、費用負担について、慎重な検討が必要です。

〇 配偶者側の主なメリット

メリット詳細
居住の安定終身または定められた期間、住み慣れた家に無償で住み続けることができる。
生活資金の確保居住権の価値は所有権より低く評価されるため、建物の評価額を圧縮し、その分預貯金などの現金を多く相続できる。
小規模宅地等の特例の併用要件を満たせば、居住権を取得した配偶者が小規模宅地等の特例(居住用宅地について最大80%減額)を適用できる。相続税の負担を大幅に軽減できる可能性がある
登記による権利保護居住権を登記することで、新しい所有者に対しても引き続き住み続ける権利を主張できる(第三者への対抗力)。

❌ 配偶者側の主なデメリット

デメリット詳細
維持費用の負担居住権者である配偶者は、建物の固定資産税や、通常の修繕費(小規模な維持管理費用)を負担しなければならない。
譲渡・賃貸の制限居住権はあくまで「住む権利」であり、勝手に第三者に売却したり、所有者の許可なく賃貸したりすることはできない
みなし贈与課税のリスク老人ホーム入居などで生前に居住権を放棄した場合、所有者へのみなし贈与として贈与税が課税されるリスクがある。
権利の取消しリスク善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)に違反して建物を不適切に使用した場合、所有者からの請求により居住権を失う可能性がある。

🔺 建物の所有者(子など)側の主なデメリット

デメリット詳細
利用・処分権の制約配偶者存命中は、建物が居住権の負担付きとなるため、売却や担保設定が極めて困難になる。
大規模修繕費の負担建物の大規模な修繕費は、原則として所有者が負担しなければならない。

配偶者居住権の取得方法と遺言書の重要事項

配偶者居住権は「遺産分割協議」「遺言による遺贈」「家庭裁判所の審判」で取得できますが、遺言で設定する場合は特に注意が必要です。

🚨 遺言書記載の重要事項:「相続させる」ではなく「遺贈する」

遺言書で配偶者居住権を設定する場合、必ず「配偶者に居住権を遺贈する」と記載してください。

  • 推奨されない理由:「相続させる」という表現は、所有権など遺産分割の対象となる財産に用いられるのが通常です。法律が居住権の設定方法として「遺贈」を定めている(民法第1028条)ため、「相続させる」では権利の範囲が曖昧になり、後の解釈や登記手続きで混乱・争いが生じるリスクがあります。

遺留分・相続放棄との関係(見落としがちなリスク)

⚖️ 遺留分への影響

  • 遺留分の算定対象となる:配偶者居住権の評価額は、他の相続人の遺留分(最低限保証された相続割合)を算定するための基礎財産に含まれます。
  • 侵害額請求のリスク:居住権の設定により他の相続人の遺留分を侵害した場合、その相続人から金銭による精算(遺留分侵害額請求) を求められる可能性があります。

🚫 相続放棄への影響(特に重要!)

  • 遺贈を受けても相続放棄はできなくなる:配偶者居住権を遺贈によって取得し、これを受け入れると、法律上「相続の単純承認」をしたとみなされます(民法第921条)。
  • 負債も引き継ぐ:一度単純承認が成立すると、後から被相続人に多額の借金などの負債が発覚しても、原則として相続放棄はできなくなります。負債も引き継ぐ義務が生じるため、居住権の設定前に財産全体の調査が不可欠です。

行政書士がサポートできること

配偶者居住権の設定には、法律・税務・登記といった専門家の連携が不可欠です。当事務所(行政書士)は、その中でも「スムーズな相続手続きの土台作り」を担います。

サポート内容詳細
遺産分割協議書の作成権利の内容を明確に定め、遺留分等も考慮した法的に有効な協議書の作成をサポートします。
遺言書作成のサポート居住権を「遺贈」として設定するなど、ご要望に応じた適切な遺言書の文案作成をサポートします。
専門家への橋渡し複雑な評価額の算定が必要な場合は税理士、登記が必要な場合は司法書士など、信頼できる他士業の専門家をご紹介・連携いたします。

(参考)短期的な安心を確保する「配偶者短期居住権」

遺産分割協議が長引いた場合でも、配偶者が一時的に居住を継続するための権利です。

  • 自動発生:相続開始と同時に自動的に発生します。
  • 期間:最長で相続開始から6か月間、または遺産分割で所有者が決まる日までの間、無償で居住が保証されます。

お問い合わせ

配偶者居住権は非常に有効な制度ですが、活用には複数の専門知識が必要です。当事務所を窓口として、相続のプロフェッショナルチームを形成し、配偶者様の安心を確保するお手伝いをいたします。