【2026年最新版】特別受益と寄与分の違い|生前贈与・介護でもめないための相続知識
行政書士米田耕太郎事務所 Administrative scrivener Komeda Kotaro Office
相続が起きたとき、最もトラブルになりやすいのが「不公平感」です。
「兄だけが、家を建てるときに親から援助を受けていた」
「私は長年、親の介護を一手に引き受けてきたのに…」
こうした不満は感情論に発展しやすく、深刻な相続争いの原因になります。
民法には、この不公平を調整するために「特別受益」と「寄与分」という2つの制度が用意されています。
ただし注意が必要なのは、法律(民法)と税金(税法)はまったく別のルールだという点です。ここを混同すると、「税金は大丈夫だと思っていたのに、兄弟でもめた」という事態になりかねません。
この記事では、実務の視点から分かりやすく整理します。
目次
「特別受益」|もらいすぎを調整する制度
特別受益とは、特定の相続人が、生前に結婚資金や住宅購入資金などを親から受け取っていた場合、それを「遺産の前渡し」とみなして、遺産分割の計算に加える制度です。
遺産分割(民法)のルール
- 原則として、何十年前の贈与であっても特別受益として問題になる可能性があります。「昔の話だから関係ない」とは限りません。
- なお、最低限の取り分である「遺留分」を計算する際は、相続人への贈与は原則として10年以内のものが対象です。
👉 ポイント: 遺産分割では「いつの贈与か」よりも、兄弟姉妹間の公平性が重視されます。
税金(相続税)のルール【2024年改正】
相続税の計算では、亡くなる前7年以内の生前贈与が相続財産に加算されます。
(※2024年の改正により段階的に延長中。4年目〜7年目前の贈与については、合計100万円まで加算されない経過措置があります)
⚠️ 重要なポイント
「税金がかからない(7年以上前)」=「遺産分割でも問題にならない」ではありません。税金のルールと、特別受益の判断は完全に別物です。
「寄与分」|介護や貢献を正当に評価する制度
寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に、特別に貢献した相続人の取り分を増やす制度です。
認められるための条件
単なる親孝行では足りません。ポイントは「経済的な負担をどれだけ減らしたか」です。
- ❌ 認められにくい例
- たまの帰省、食事や買い物の手伝い、精神的な支え
- ⭕ 認められやすい例
- 本来なら介護サービスを利用すべき状況で、長期間・無償で介護を行った
- 被相続人の事業や家業を、無報酬または低報酬で支えた
準備しておきたい証拠
寄与分は、客観的な証拠がなければ認められません。
- 介護日記・介護記録、病院への送迎履歴
- 親の代わりに支払った費用の領収書
- 介護認定通知書、ケアプランの写し
税金との関係(よくある誤解)
「こんなに介護をしたのに、税金は安くならないの?」という質問をよく受けますが、寄与分はあくまで「取り分」を調整するもので、原則として相続税そのものを直接減らす効果はありません。
トラブルを防ぐための生前対策
相続トラブルを防ぐ最大のポイントは、生前の意思表示と記録です。
① 持ち戻し免除を遺言書に明記する
親が「この贈与は相続の計算に含めなくていい」と考えているなら、その意思を遺言書に明記しましょう。これにより、遺産分割上の争いを大きく減らせます。
※ただし、他の相続人の「遺留分」まで侵害することはできないため、極端な偏りがある場合は注意が必要です。
② 婚姻期間20年以上の夫婦間贈与の特例
婚姻期間20年以上の夫婦間で「自宅不動産」や「その購入資金」を贈与した場合、原則として相続財産に持ち戻さなくてよい(持ち戻し免除の推定)という制度があります。配偶者の生活を守るための重要な特例です。
まとめ|法律と税金は必ず分けて考える
| 項目 | 遺産分け(民法)のルール | 税金(税法)のルール |
| 特別受益 | 過去の贈与を取り分に反映 | 最大7年以内の贈与を加算 |
| 寄与分 | 「貢献」を取り分に反映 | 原則、相続税は減らない |
相続の不公平感は、感情の対立に直結しやすい問題です。
「誰に・いつ・何を贈与したのか」を記録に残し、必要に応じて早めに専門家へ相談することが、最大のトラブル防止策になります。
※個別の事案については、必ず弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。


