自筆証書 vs 公正証書:行政書士が「公正証書」を勧める実務的な理由

行政書士米田耕太郎事務所 Administrative scrivener Komeda Kotaro Office

「遺言書は自分で書いて法務局に預ければ、安く安全に済むのでは?」

2020年に始まった「自筆証書遺言書保管制度」により、紛失・改ざんリスクは大幅に低減しました。しかし、相続実務の最前線に立つ私たち行政書士は、「保管制度があるから自筆で十分」とは考えません。

なぜなら、法務局が守ってくれるのは主に「書類の保管」と外形的要件の確認であって、「あなたの家族の平和」までを保証するものではないからです。

「形式は有効」でも「実務で使えない」リスク

法務局の保管制度では、日付・署名・押印といった外形的な要件の確認が主となり、内容が法律的に優れているか、実務でスムーズに動くかまでは審査されません。

  • 不動産名義変更(登記)の壁
    「自宅は妻に」という一行でも、不動産の特定が登記簿どおりでない場合、遺言書単独では登記ができず、結果として遺産分割協議書の作成や相続人全員の押印が必要になるケースがあります。
  • 金融機関の慎重姿勢
    銀行は争いを極めて嫌います。金融機関の内部運用上、自筆遺言の文言に少しでも解釈の幅があると、「相続人全員の同意書」を求められ、手続きが数ヶ月単位で止まることがあります。

【ここがポイント】
公正証書遺言は、公証人が内容を精査して作成するため、「この一通で各窓口が動く」実行力を持ちます。

「意思能力」の争いは保管制度では防げない

相続発生後、不満を持つ親族から最も突きつけられやすいのが、「作成当時、認知症で判断力がなかったのではないか」という主張です。

  • 保管制度の限界
    法務局の窓口担当者は医師ではなく、作成時の高度な意思能力の有無を公的に証明する立場にはありません。
  • 公正証書による強力な証拠力
    公証人が本人と対話し、意思確認を行ったうえで作成されるため、後から無効を訴える側には非常に重い立証負担が課されます。無効主張リスクを最小限に抑える効果があります。

行政書士が介在する「紛争予防設計」

公証役場へ直接行くことも可能ですが、行政書士は「書類を作る」前の「家族の未来を設計する」段階を担います。

  • 遺留分への配慮
    特定の相続人に多く残す場合でも、他の相続人の最低限の権利を無視すると、死後に紛争が生じやすくなります。あらかじめ争いを予測した財産配分を設計します。
  • 想いを伝える「付言事項」
    なぜこの配分にしたのか、その背景にある想いを言葉として残すことで、感情的な対立にブレーキをかける効果があります。
  • 二次相続まで見据えた提案
    今回の相続だけでなく、その次の配偶者の相続まで見据え、管理や負担が過度にならないよう助言します。

筆者の原体験:家族が壊れる前に

私自身の祖母の相続では、自筆遺言があったにもかかわらず、親族間で長期間の調停に発展しました。「良かれと思って書いた遺言」が、結果として家族を分断してしまう。

そんな悲劇を神戸・明石の街から一つでも減らしたい。それが、行政書士として私が相続業務に注力する原点です。

まとめ:その遺言書は「盾」になりますか?

安さを優先して「自筆」を選ぶこと自体は誤りではありません。
しかし、「家族にだけは苦労をかけたくない」という想いがあるなら、公正証書遺言は最も確実性の高い選択肢です。

※相談したからといって、必ず公正証書遺言を勧めることはありません。ご事情に合った選択肢を一緒に整理します。

次のステップとして、私と一緒に整理してみませんか?

初回相談(神戸・明石エリア出張可)では、以下の3点を整理します。

  1. 現状の棚卸し: 家族構成と財産状況の確認
  2. 最適解の提示: 自筆と公正証書、どちらが適しているか
  3. リスク回避: 将来起こりうる「もめ事」の芽をどう摘み取るか

無理な契約は一切迫りません。
「何から手を付ければいいか分からない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

次のステップ

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「書くだけ」で終わらせない。神戸・明石のご家族に、遺言を確実に届ける「遺言執行者」という安心を。

※本記事は、実務での判断過程を含め、行政書士としての視点で整理しています。

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