遺言書と違う分け方はできる?「他人への遺贈」を円満に解決するための条件と手順

行政書士米田耕太郎事務所 Administrative scrivener Komeda Kotaro Office

「亡くなった父に公正証書遺言があったが、見知らぬ知人Aさんに財産を贈る内容だった……」

「家族で話し合い、できれば法定相続通りに分けたい。でも、遺言の内容は絶対なの?」

公正証書遺言は極めて高い法的効力を持っています。しかし、実はある条件を満たせば、遺言書の内容とは異なる「納得のいく分割」を実現できる可能性があります。

今回は、遺言の内容を変更するための条件と、行政書士がどのようにお手伝いできるかを分かりやすく解説します。

遺言と違う分け方は「全員の合意」があれば可能!

たとえ公証役場で作られた遺言書であっても、以下のメンバー全員が同意すれば、遺言とは異なる内容(例:法定相続分での分割)で遺産を分けることができます。

  1. 受遺者(財産を受け取る他人Aさん)
  2. 法定相続人全員
  3. 遺言執行者(遺言で指定されている場合)

【重要】遺言執行者がいる場合

民法改正により、遺言執行者がいる場合に相続人が勝手に財産を処分する行為は「絶対的に無効」と定められました。執行者がいる場合は、その人を無視して進めることはできません。

ただし「他人Aさんの協力」が不可欠です

相続人だけで勝手に「遺言は無視しよう」と決めることはできません。

  • 他人Aさんが同意(辞退)している場合: 円満に法定相続分へ戻す手続きが進められます。
  • 他人Aさんが同意していない場合: 原則として遺言書の内容が優先されます。

まずは、Aさんに遺言の内容を丁寧に伝え、受取の意思があるかを確認する「第一歩」が重要になります。

【知っておきたい豆知識】

もし遺言者(父)よりも先に、財産をもらうはずのAさんが亡くなっていた場合、その遺贈は原則として無効になります。この場合、財産は自然に相続人の元へ戻ります。まずは事実関係の調査が大切です。

「遺贈のタイプ」で変わる放棄の手続き

Aさんが「財産はいらない」と同意してくれた場合でも、遺言書の種類によって必要な法的手続きが異なります。

項目特定遺贈(「〇〇の土地を贈る」など具体的に指定)包括遺贈(「全財産の20%を贈る」など割合で指定)
放棄の方法相続人への意思表示のみでOK家庭裁判所への申述が必要
放棄の期限なし(※1)知った時から3ヶ月以内
負債の継承借金は引き継がない相続人と同様に借金も引き継ぐ
  • (※1)特定遺贈の注意点: 期限はありませんが、相続人から「返事をください」と催告され、期間内に回答しないと「承諾した(もらう)」とみなされるルールがあります。放置は厳禁です。

税務上のリスク(贈与税)に注意!

適切な手順を踏まずに「Aさんの権利を相続人に移す」形をとると、税務署から「Aさんから相続人へのプレゼント(贈与)」とみなされ、高額な贈与税が課せられる恐れがあります。

これを防ぐためには、法的に不備のない「遺贈放棄書」を整備し、「一度もAさんの財産になっていない」ことを明確にする必要があります。

※当事務所では、提携税理士と連携し、税務面でも安心できるスキームを整えるお手伝いをいたします。

行政書士に相談するメリット

「面識のないAさんにどう連絡すればいいのか?」「後から揉めない書面はどう作るのか?」

こうした不安に対し、行政書士は「予防法務(争いを未然に防ぐ)」の観点からサポートいたします。

当事務所ができること

  • 事実関係と権利の整理: 遺留分の計算、遺言執行者の有無、Aさんの存否確認(戸籍調査)などを行います。
  • 「意向照会」のサポート: Aさんに対し、相続人の状況を丁寧にお伝えする「お手紙(事務的な通知書)」の作成や、窓口を務めます。
  • 遺産分割協議書・放棄書の作成: 全員の合意内容を、法的に不備のない正確な書面にまとめます。

ご相談前にお読みください(職域について)

  • 交渉の代理: すでに争いがあるケースで、依頼者の代わりに相手と交渉・対決することは弁護士の領域です。
  • 具体的な税務計算: 個別の税額算出や申告書の作成は税理士の領域です。

「まだ揉めてはいないけれど、円満に、かつ法的に正しい手順で進めたい」という段階こそ、行政書士が最もお力になれるタイミングです。

家族の絆を守るために、まずは「整理」から始めませんか?

遺言書の内容に驚き、不安になるのは当然のことです。まずは一度、現在の状況を正しく把握するために専門家へご相談ください。