自筆証書 vs 公正証書:行政書士が「公正証書」を強く勧めるこれだけの理由

行政書士米田耕太郎事務所 Administrative scrivener Komeda Kotaro Office

「遺言書なんて、自分で書いて法務局に預ければ安上がりで済むのでは?」

そう考える方が増えています。2020年に始まった「自筆証書遺言書保管制度」により、紛失や破棄のリスクは確かに減りました。

それでもなお、相続争いや手続きの停滞を日常的に目にしている私たち行政書士は、大切なご家族がいる方にこそ「公正証書遺言」を強くお勧めしています。

本記事では、なぜ公正証書遺言が「実務上、もっとも家族を守れる選択肢」と言えるのか、その理由を解説します。

筆者の原体験

「自筆で遺言は残されていましたが、『当時は判断能力がなかったのではないか』と親族間で争いになり、調停や弁護士対応に長い年月がかかりました……。最初から公正証書遺言を作成していれば、家族はここまで苦しまなくて済んだはずです。」

—— これは私の祖母の相続での実体験です。この経験が、私が行政書士として相続業務に力を入れる原点となりました。

【比較表】自筆証書(保管制度)vs 公正証書遺言

比較項目自筆証書(保管制度利用)公正証書遺言
作成の難易度手軽だが、法的正確性は自己責任公証人が作成。形式不備はほぼゼロ
内容の審査外形(日付等)のみ。内容は不問公証人・専門家が内容の妥当性を精査
証拠能力「本人が書いた」ことまで意思能力を確認した公文書として最強
手続きの速さ金融機関等で追加確認が入ることも信頼が最も厚く、実務上最速で完了
プライバシー自分で準備が必要専門家が証人となり秘密を厳守
将来のコスト紛争時は数百万円の弁護士費用も初期費用はかかるが、最高の紛争保険

保管制度があっても「公正証書」を選ぶべき3つの決定的理由

① せっかくの遺言が「実質的に使えない」事態を防ぐ

法務局の保管制度は、日付や署名の有無といった「形式」はチェックしてくれますが、「内容が法的に有効か」「銀行手続きに使えるか」までは保証してくれません。

  • 遺留分を無視した配分で、死後に調停が起こる
  • 不動産の表示が不正確で、名義変更(登記)ができない
  • 銀行が「解釈が分かれる表現」として、預金解約を拒否するこうした「書いたけれど役に立たない」リスクをゼロにできるのが公正証書の強みです。

② 「認知症だったのでは?」という無効主張を封じ込める

相続トラブルで最も多いのが、「あの時、父さんは正常な判断ができなかったはずだ(遺言無効)」という主張です。

自筆の場合、当時の健康状態を後から証明するのは非常に困難です。一方、公正証書は法律のプロである公証人が本人と直接対面し、意思能力を確認した上で作成します。この「公的なお墨付き」が、家族を疑心暗鬼から救います。

③ 証人の手配とプライバシーの確保

公正証書遺言には2名の「証人」が必要です。しかし、友人に頼めば財産内容を知られてしまいますし、親族は証人になれません。

当事務所が関与する場合、行政書士が証人を務めます。守秘義務のあるプロが立ち会うことで、誰にも知られずに、法的に完璧な遺言を遺すことが可能です。

なぜ「行政書士」と一緒に公正証書を作るのか?

公証役場へ直接行くこともできますが、行政書士は「予防法務」のプロとして以下のサポートを行います。

  • オーダーメイドの「付言事項」: 単なる数字の分配だけでなく、「なぜこの配分にしたのか」という家族への感謝のメッセージを、法的バランスを考えながら一緒に作成します。
  • 面倒な書類収集の代行: 戸籍謄本など、作成に必要な大量の書類収集をすべて丸投げいただけます。
  • 争いを未然に防ぐ設計: 遺留分や特別受益を考慮し、死後に親族が揉める「隙」をなくします。

まとめ:安さよりも「家族の平和」を

こんな方は「公正証書遺言」を強くおすすめします

  • お子様同士の仲があまり良くない、または疎遠である
  • 財産に不動産が含まれている
  • 特定の人(介護をしてくれた子、内縁のパートナー等)に多く遺したい
  • 自分が亡き後、家族に「話し合い(争い)」という負担をかけたくない

自筆証書遺言は「自分のメモ」としては有効ですが、家族を守る「盾」になるのは公正証書遺言です。

最後に:相談を迷っているあなたへ

「まだ元気だし、うちは仲が良いから大丈夫」

そう思っていたご家族が、相続をきっかけに絶縁してしまう姿を私は見てきました。

遺言書を作成することは、決して「死の準備」ではありません。

残された人たちが、これからも仲良く、笑顔で暮らしていくための「最後の手紙」を準備することです。

「何から手をつければいいかわからない」「費用がいくらかかるか不安」という方も、まずは一度お話を聞かせてください。

初回相談で、「そもそも遺言が必要な状況か」を判断するだけでも、心の霧が晴れるはずです。

無理な勧誘は一切いたしません。あなたの家族の未来のために、一緒に「安心の形」を考えてみませんか?

あなたの想いを、確かな形に。

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